最新鋭戦闘機の波紋

1960年代前半、池田勇人首相は"トランジスタのセールスマン"とよばれたことがある。
近年では、日本の首相は"原発のセールスマン"などとよばれるようにもなった。
つまり、首相自ら国際ビジネスの最前線に立つということもありうる。
1970年代に起きた疑獄事件・ロッキード事件も、日米首脳会談おいてアメリカ側からの、日本の対米黒字を解消するために、アメリカ製航空機の購入要求に端を発している。
その航空機選定において多額の現金(ピーナツ)が日本の政府高官に渡ったということが発覚したのである。
最近では、日本の対米黒字に対し、トランプ大統領によって日本政府がイージスアショアやF35戦闘機を”言い値”で大型購入するハメになった。
その点、アメリカの国力を背景にしたトランプ大統領こそビッグ・セールスマンといえる。
トランプ大統領が、負担の不公平をいいつつ米軍を各地から撤退させる代わりに、アメリカ製の多額の防衛装備を沢山購入させている。
それれがトランプ流交渉術とまではいわないまでも、国家の安全保障がビジネス化しているというのは、トランプ大統領になって顕著になった感がある。
さて、昨年のニュースでアメリカの最新鋭戦闘機「F35」に関するニュースが目立った。
なかでも驚いたのが海上自衛隊の護衛艦「いずも」が空母に改修されるというものだ。
その改修の具体的な内容は、「いずも」をF35Bステルス戦闘機の発着が可能なものにするというもの。
これまで政府は、憲法の制約上、空母は保有が認められないとしてきたが、防衛大臣は"専守防衛"の立場は変わらず、攻撃型のものではないと回答している。
それでは、F35戦闘機とはどういう性能をもつ機種なのか。
それが軍事上いかに重要な意味をもつかは、はからずもその"墜落事故"で明らかになった。
2019年6月、航空自衛隊の最新鋭戦闘機F35Aが青森沖に墜落した。
その際、自衛隊の潜水艦救難艦が海底を捜索し、米軍の艦艇、航空機も加わる"異例"の捜索態勢をとった。
F35Aの捜索がこれほど大規模に行われたことはなく、単なる事故原因の解明に必要なフライトデータレコーダーを回収するだけの捜索とは考えにくいものがあった。
というのも、過去に起きた自衛隊機の墜落捜査で、アメリカ側が参加することはなかったからだ。
だが機体を回収したとしても、ブラックボックスの塊りのようなF35Aの事故原因を分析する能力は日本側にはなく、米側のみが分析を行うことになる。
その場合、事故調査は一方的なものになりかねないが、こうした問題が浮上するのは、日本が米政府の定めた「対外有償軍事援助(FMS)」でF35戦闘機を調達しているからにほかならない。
愛知県の小牧南工場で最終組立が行われた機体は帳簿上、いったん米政府に移管され、米政府の"言い値"で防衛省が購入する。
形式的には米政府の"好意"で売ってもらっている以上、日本政府は価格はもちろん、米政府が求める生産方式を唯々諾々と受け入れるほかないというのだ。
この理不尽なFMSの仕組みが、事故の真相解明の妨げとなる可能性がある。
そもそも日米合同で、これほど必死に機体を捜索するのは、F35A戦闘機の機体が、ロシアや中国にとって、”宝の山”といえるものだからだ。
第一に、レーダーに映りにくい”ステルス性”を持つ特殊な機体であること、第二に事故機に搭載されている”敵味方識別装置”が装備されていること。
仮に、”敵味方識別装置”がロシアや中国によって引き揚げられるようなことがあれば、旧西側諸国の”防衛態勢”に重大な影響を及ぼす可能性がある。
F35Aの秘密を探れば、自国のステルス機開発に役立つばかりでなく、その"弱点"も同時に把握することになり、ステルス機が競い合う「第5世代」戦闘機同士の戦いで優位に立てるからだ。
またF35Aには、米国が開発した「ネットワーク戦闘」の端末としての役割があり、その全容を知ることにより、攻撃手法を探り、同時に防御態勢を確立することができる。
「ネットワーク戦闘」とは、人工衛星、空中警戒管制機(AWACS)、イージス艦などが得た敵情報を集約して、F35Aのディスプレイに映し出し、搭載した巡航ミサイルで敵艦艇や敵基地を攻撃するなどの技術を指す。
ロシア、中国が機体を回収すれば、米国の先端技術を労せずして獲得することになるため、米国はそう簡単に墜落機の捜索を諦めるわけにはいかない。

「第5世代」戦闘機で思い浮かべるのが、次世代の通信規格「5G」である。
"G"とはジェネレーション(世代)を意味するが、この「5G」で世界を席巻しているのが、中国のインターネット通信会社である”ファーウェイ(華為)”である。
スマートフォンのシェアはアップルを抜き 世界2位になっており、ファーウェイの「5G」を導入検討している国は、すでに80カ国を超え世界に広がっているという。
何といっても、「5G」は膨大なデータを瞬時にやり取りできるため、様々なハイテク技術に不可欠な通信インフラになる。
具体的には、行政システムや交通網などあらゆる都市の機能をつなぐことができる。
今、ファーウェイが開発に力を入れている最先端の技術が、深圳市が世界に先駆けて始めたスマートシティの構築に導入されることにある。
スマートフォンなどの位置データを集積。刻一刻と変わる人々の動きや混雑状況を正確に割り出す。
更に 車からのデータを分析し交通渋滞を解消するなどネットワークによって都市全体を管理しようとしている。
「5G」では 通信速度がこれまでの10倍になるため、「4G」に比べ監視カメラなど 接続できる機器の数も10倍に増える。
深圳市のスマートシティには既に8万台の監視カメラが接続され町じゅうの映像が24時間 リアルタイムで集積されている。
それによって都市の治安も強化されるという。
また「5G」は 軍事技術も飛躍的に高め、それが第5世代戦闘機に導入されることになる。
もし、中国がそれを一手に握れば 世界の安全保障に重大な影響を与えかねないとアメリカが危機感を強めている。
そうした動きに対抗するかのように、トランプ大統領がNATO(北大西洋条約機構)の首脳会議に出席した際に、トランプ大統領が各国の首脳に対しファーウェイの「5G」を排除するよう迫った。
「5G」によって都市の人々や物資の移動がわかるようになれば、ドローンやロボット兵器が戦場の情報を瞬時に共有し攻撃できるようになるからだ。
そして、アメリカが特に懸念しているのが、ファーウエイが国家の安全保障を脅かす情報セキュリティの問題である。
かつて、アメリカの議会で、TOYOTAの売れ筋である”プリウスの欠陥問題”が急浮上したことを思い浮かべるが、「5G」のセキュリティ問題は、トランプお得意の”フェイク”とばかりは言い切れない。
その排除発言の根拠の一つとなったのは、通信機器のセキュリティを独自に調査し企業や政府機関に助言をしてきた会社の調査である。
この会社が、過去5年 ファーウェイの通信機器500種類以上を調査し”ある問題”を発見したという。
こうした機器に搭載されたソフトウェアに、外部からの侵入を可能にする”アカウント”が存在しているというのだ。
ソフトウェアは、一般に開発段階でセキュリティ上の"弱点"が生じることはありうる。
しかし仮に、開発者が不正にアクセスするためにその弱点を「意図的」に設けた場合、情報の抜き出しや遠隔操作を行うための”裏口”つまり バックドアになる可能性がある。
国務省でサイバーセキュリティを担当する専門家は中国政府がその”バックドア”を利用する危険性を指摘する。
アメリカが こうした事態を強く警戒するのは中国に「国家情報法」という法律があるからだ。
これは 中国のあらゆる組織や人に対して国家の情報活動を支援し協力するよう義務づける法律である。
アメリカが懸念しているのがこの法律に基づき中国政府が情報を引き渡すよう求めた場合、ファーウェイは応じざるをえず、軍事情報などの国家機密を抜き取られる恐れがあることである。
さて、アメリカは、中国が「知的財産権」を侵しているとの理由で、ファーウエイの排除、そして中国からの輸入品の関税の引き上げが行われたが、それが中国の対抗措置をよび世界経済が否応なく縮小した。
ようやく、緩和の動きが起きはじめた矢先に、新型コロナウイルスの問題が発生した。
実は、知的財産権の問題は、同盟国の間でも軽視できない問題で、それは、F35戦闘機の製造においても見ることができる。
実は、F35戦闘機の製造元であるロッキード・マーチン社以外の最終組立工場を日本とイタリアに置くことを認め、日本では三菱重工業小牧南工場が指定された。
米国と共同生産国がつくった主翼や胴体、エンジン、電子機器が同工場に持ち込まれ、最終組立が行われている。
一言でいえば、「三菱重工がロッキード・マ-チン社の「下請け」に入ったと考えれば分かりやすい。
だが「最終組立」の言葉からわかる通り、小牧南工場で行われているのは、米側の指示通りに組み立てる。部品の大半は”ブラックボックス化”され、その部品の持つ意味も製造技術も日本側には開示されていない。
ただしF35Aの場合、ライセンス料を支払って、”国産部品”を生産し組み立てるライセンス生産と異なり、”海外から集められた部品”を組み立てるにとどまっている。
組み立てが終わった機体は別棟の検査工場に移され、日本側を”排除”した中で米軍幹部、ロッキード・マーチン社の技術者など米側だけで「最終検査」が行われるのだという。

2019年のF35戦闘機墜落事故は、機体が高度な先端技術を搭載していただけに、安全保障にとどまらない社会的な意味合いも含んだものだった。
その点で思い出すのは、1976年9月のソ連の最新鋭「ミグ25戦闘機」の日本への強行着陸である。
それは安全保障上の問題にとどまらず、当時の日本社会の"機能不全"を露呈させた点で衝撃的であった。
ソ連防空軍所属のミグ25戦闘機数機が、ソ連極東のウラジオストク近くにあるチェグエフカ空軍基地から訓練目的で離陸した。
そのうちの1機が演習空域に向かう途中、突如コースを外れた。
これを日本のレーダーが13時10分頃に捉え、”領空侵犯”の恐れがありとして、急遽航空自衛隊千歳基地からF4EJ機が”スクランブル”発進した。
北海道の函館空港に接近し、市街上空を3度旋回したあと13時50分頃に滑走路に「強行着陸」した。
パイロットは抵抗の意思のないことを明らかにするため、空にむけて空砲を一発うった。
そして警察が到着すると共に函館空港周辺は、北海道警察によって”完全封鎖”された。
北海道警察の取り調によれば、ミグ25戦闘機にのっていたのは、ヴィクトル・ベレンコ空軍中尉で、この時、残りの燃料はほとんどなくなっていた。
べレンコ中尉はアメリカへの亡命を希望していることを語り、その後、希望通りアメリカに亡命した。
ベレンコの亡命理由については諸説挙げられているが、本当の理由は「待遇の悪さと、それに伴う妻との不和による衝動的なもの」という説が有力である。
ところで、このミグ戦闘機侵入という非常事態は、日本という国がもつ様々な問題を浮き彫りにした。
その第一の問題は、いうまでもなく日本の「防空網」の脆弱さである。
航空自衛隊は地上のレーダーと空中のF4EJ機の双方で日本へ向かってくるミグ25機を捜索した。
しかし、地上のレーダーサイトのレーダーはミグ25機が低空飛行に移ると探知することができず、またF4EJ機のレーダーは「ルックダウン能力」つまり、上空から低空目標を探す能力が低いことが判明した。
そのため、ミグ25戦闘機は航空自衛隊から発見されないまま、ヤスヤスと侵入できたのである。
この事件ではパイロットが「亡命目的」での侵入であったことが幸いしたが、攻撃目的であったらならば重大な事態を引きおこす危険性が露呈したのだ。
このため、日本のレーダー網や防衛能力が必要最低限にスラ達していないという批判がなされた。
この事件を契機に、それまでは予算が認められなかった「早期警戒機」E2C機の購入がなされている。
第二の問題は、日本の自衛隊と警察の間で管轄権の違いによる”縦割り行政”の行き過ぎが明らかなった。
ミグ戦闘機の侵入事件の際には、「領空侵犯」は軍事に関わる事項であるが、空港に着陸した場合は警察の管轄に移行することになっている。
警察によって封鎖された空港現場から、その管轄権をタテに陸上自衛隊員は締め出されたのであった。
しかし非常事態にソンナこと言っている場合ではなく、協力体制の構築の方がよほど必要なことである。
第三の問題は、情報または風評への対応である。
ミグ25戦闘機が函館空港に強行着陸した直後、ソ連軍が特殊部隊などを使って機体を取り返しに来るとか、機密保全のため破壊しに来るとかいうウワサや憶測が広がった。
なにしろ、当時米ソは「デタントの時代」であったが、予断を許す状況にはなく、函館周辺は緊迫した。
実際に、函館駐屯地で開催予定だった”駐屯地祭り”の展示用として用意されていた戦車、高射機関砲が基地内に搬入され、ソ連軍来襲時には、戦車を先頭に完全武装の陸上自衛隊員200人が函館空港に突入、防衛戦闘を行う準備さえもなされた。
海上自衛隊は三隻を日本海側、二隻を太平洋側に配置して警戒に当たり、掃海艇は函館港一帯の警戒し、魚雷艇は函館空港付近の警備に当たった。
同時にヘリコプターが常時津軽海峡上空で警戒飛行に当たり、上空にはF4戦闘機が24時間体制で哨戒飛行を実施したのである。
第四の問題は、ソビエトからの機体返還要求に対する対応である。
ソビエト連邦からは機体の即時返還要求があったが、当時、親ソの最大野党であった日本社会党はこれに同調したが、日本(と同盟国のアメリカ)は、国際慣例上認められているとされる「機体検査」のためにミグ25を分解することにした。
そのために、アメリカ空軍大型輸送機にミグ戦闘機を搭載して百里基地(茨城県)に移送した。
機体には「函館の皆さんさようなら、大変ご迷惑をかけました」と書かれた横断幕が掲げてあった。
機体検査の後、11月15日にソ連に返還された。
ミグ25戦闘機侵入事件は、日本国内ばかりではなくソ連国内においても様々な波紋を投げかけた。
ソ連の当事件の調査委員会は、現地の生活条件の劣悪さに驚愕し、直ちに官舎、学校、幼稚園などを建設することが決定された。
この事件は、極東地域を始めとする国境部の空軍基地に駐屯しているパイロットの待遇改善の契機ともなったのである。
アメリカは、超高速のミグ25戦闘機と対抗するために、F15戦闘機を開発していた。
しかしミグ25戦闘機は弱点も多く、それほどの脅威ではないことが判明した。
特に機体が耐熱用のチタニウム合金製と考えられていたが実はステンレス鋼板にすぎなかったことや、旧式の電子機器を多用しており、当時の水準としては著しく時代遅れなことに、驚愕したくらいであった。
というわけで、「ベレンコ旋風」は、アメリカの対ソ連軍事戦略にも大きな影響を及ぼしたのである。

ところが、トランプ米大統領の登場で局面が変わる。
トランプ氏は選挙戦で在日米軍撤退に言及し、就任後も安保条約への不満を公言。本来は矛盾する「安保」と「平和」を結びつけてきた、戦後日本のハシゴを外してしまったといえる。
見本市の会場には電子機器の開発や、特殊な繊維の製造などに関わる国内の中小企業も出展している。
例えば、名古屋市のソフトウエアの開発会社は、独自の警戒監視システムを出展した。
見通しの悪い場所でも振動を感知する特殊なセンサーを使うことで侵入者を探知したり、射撃の際に発生する振動と音を分析し、発射位置を特定したりするシステムである。
また、東京大田区の電子機器メーカーは、細かな砂やウイルスなどを吸着する特殊な繊維を量産できる装置を出展した。
しかし、日本の装備や技術が海外に渡ることで、国際情勢や相手国の政策が変わって、当初意図したものではない形で使われるリスクというのは常にありうる。
リスクを政府として事前に収集して、輸出の可否を決める判断材料として使っていくことが重要となる。
昨年、徴用工問題をきっかけに韓国が「ホワイト国」から除外されると、「」の3品目だけでなく、工作機械や特殊な金属などほかの輸出品目にも規制強化の対象が広がることになる。
韓国への規制が長期化すれば、日本企業のビジネスの機会が縮小することにもなりかねない。
一方の韓国は「経済的な報復措置だ」と反発し、WTO=世界貿易機関への提訴も辞さない考えを明らかにしている。
最近では、徴用工問題に端を発した日韓関係の悪化の中、日本が、対日貿易管理上の優遇措置を受けられる「ホワイト国」のリストから韓国を除外すると発表したほか、重要な工業製品3品目についても韓国向け輸出の優遇措置を解除している。
それに対抗して、韓国政府は日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を破棄すると発表したことは記憶に新しい。
また、2020年3月、輸出が規制されている「噴霧乾燥装置」を横浜市の化学機械メーカーが中国に不正に輸出したとして、警視庁は、横浜市の会社の社長ら3人を外国為替法違反の疑いで逮捕された。
この会社は国の許可を受けずに「噴霧乾燥装置」をドイツの総合化学会社の中国の現地法人に不正に輸出したとしてされた。
この装置は、液体を霧状にして乾燥させ、粉末にする機械で、通常、医薬品の製造などに使われているが、生物兵器の製造など、軍事目的に転用されるおそれがあるため、輸出が規制されているものであった。
会社側は、届け出が必要な性能に達していないと認識だったと説明している。
さて、共産圏への輸出規制違反で思い起こすのが、1980年代前半に米国で東芝の社員が逮捕された事件である。
静岡県沼津市に本社を置く「東芝機械」は、国内工作機械の大手メーカーであり総合電気メーカー東芝が50パーセントの資本を出資した子会社である。
東芝機械は1982年12月から1984年にかけて、ソビエト連邦技術機械輸入公団へ「工作機械」8台と当該工作機械を制御するためのNC装置及びソフトウェアを輸出した。
担当した社員は、ソ連から引合のあった「工作機械」は共産圏への輸出が認められていない点を認識した上で、輸出する機械について偽りの輸出許可申請書を作成し、海外にて組み立て直すとして契約を交わした。
輸出を管理する通商産業省もこの許可申請が”虚偽”であると見抜けなかった。
アメリカは、この工作機械がソ連の攻撃型原子力潜水艦のスクリュー”静粛”性向上に貢献したと主張し、の輸出が日本も参加していた「対共産圏輸出統制委員会(ココム)」の協定に違反していると訴えたのである。
この出来事は、現地法人にとって大きな衝撃となったのである。
2019年11月、陸海空の防衛装備品や最先端の技術などを国内外の企業が展示する日本で初めての総合的な見本市が行われた。
千葉市の幕張メッセで3日間にわたって開かれる見本市には、国内からおよそ60社、海外からおよそ90社が出展している。
会場では、無人水中艇や研究用の装甲車、それに無人航空機用に開発されたエンジンなど自衛隊や各国軍向けの装備品や最先端の技術が展示され、国内からは電子機器の開発などの分野に中小企業も出展された。
見本市は、イギリスで2年に1回開かれている世界最大規模のもので、今回、日本が開催地に選ばれ、防衛省や外務省、経済産業省などが後援した。
こうした、総合的な見本市が日本で開かれるのは初めてで、その背景として、日本が世界最大規模の見本市の開催地に選ばれた理由は、増大する防衛予算と高い技術力にある。
防衛省の来年度予算案の概算要求は過去最大となる5兆3000億円規模になり、日本は目される防衛市場になっているということです。
日本は、北朝鮮からの弾道ミサイルの脅威があり、海外のバイヤーにとっては、これまで輸出できなかった日本の装備や技術が外に開かれる機会が出てきて、情報収集が非常に重要になっている」と指摘している。
ところで、「武器輸出三原則」に代わって定められた「防衛装備移転三原則」である。
平和貢献や国際協力、それに日本の安全保障に役立つ場合にかぎり、厳格な審査のもと”輸出”を認めるようになり、日本での見本市の開催や、国際的な見本市への日本企業の出展を”後押し”する形となっている。