街は降り続く三月の雨に煙っていた。 その夕方も篠つく雨で、パトロール警官のジェネロは相手をはっきりと見分ける事ができなかった。 全身黒ずくめのその男――あるいは背の高い女だったかもしれない――はバス停に立っていた。 バスが走り去った時、ジェネロは小型の鞄が置き忘れてあるのに気づいた。 彼は鞄を開け手を入れたが、思わず顔を歪め反射的に手をひいた―― 無理もない、何と、鞄から出てきたのは手首から切断された巨大な人間の手だった! 果たして犠牲者、そして加害者は? 手掛かりを求めて87分署の刑事たちは雨の街に散っていった。 カバー より
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装幀/スタジオ・ギヴ 写真/佐藤秀明 |