◇◆◇ フォークソングとは? ◇◆◇
 
同人活動をやってるような若い方たちの中には、フォークソングって何なのかわからない人も多いのではないでしょうか。
そんな人たちにもフォークソングを知ってほしくて書いてみた文章です。
フォークっていうのは、決して他の音楽と対立するものではなく、両立するものです。
流行歌とフォークソングが共存するのが、健全な音楽シーンだと思うのです。
それに、同人誌とフォークソングって、ちょっと似ている……
 
 フォークソングは流行を超越した音楽です。華やかなステージを登りつめるのとは正反対の、草の根・手作りの音楽。手作り・手渡しの音楽だから、ネット配信なんてのとは対極にある音楽です。テレビから流れてくる音楽、商業主義の中で使い捨てにされる音楽しか知らない現代の若い人たちにぜひ知ってほしい音楽です。 

● フォークソングって何? 
 今の若い人にとってはフォークソングとは何か、すら知られていないかも知れません。 
 多少知っている人にしても、「昔流行ったポピュラー音楽の一種」、「シンガーソングライターが作って、アコースティックギターを弾きながら唄う貧乏くさい歌」、或いはせいぜいが「学生運動と連動した反戦歌」と言う認識止まりでしょう。フォークシンガーと言っても、思い浮かべるのは吉田拓郎、かぐや姫、松山千春といったところではないでしょうか。 
 つまり、マスコミに乗った、カレッジフォークや四畳半フォークから「ニューミュージック」への過渡期の、半歌謡曲的なものをフォークだと思っている人がほとんどだと思います。 

●本来のフォークソングとは 
 本来のフォークソングとはそのようなものではありません。 
 言うなれば「人びと音楽」「民衆音楽」と呼ぶべきもので、直訳の「民謡」に近いものでさえあります。名もなき民衆の中から生まれ、唄われ、唄い継がれていく歌。人々の心の声。流行とも、商業主義とも無縁の歌。それがフォークソングです。 最近、小室等さんが新聞に「フォークソングはハレではなく、ケの音楽だ」と書かれていましたが、これも的を射た見方だと思います。 
 「ある歌が、孫の代まで唄い継がれ、作者の名前も忘れられて初めて本物のフォークソングになる」……笠木透さんの言葉です。 

●フォークにとってきびしい時代 
 マスコミと商業主義に文化を独占されている現代では、その存在さえいかに難しいか、わかっていただけるでしょうか。 
 結局、フォーク・ムーヴメントが残したものは、歌作りの垣根を低くしたことだけ。商業主義においしいところだけを持って行かれて、「聞かせるため」「CDを買わせるため」「カラオケで歌わせるため」の歌――歌謡曲の変形――だけが残りました。もちろん、そういう音楽もあっていいのですが、フォークの精神は受け継がれることなく、時代は変わってしまったのです。 
 また、当時は京都がフォークのメッカなどと言われ、その後も地方性を生かしたフォーク歌手が何人も登場しましたが、そんな風に地方が文化の発信地になることももうなくなってしまいました。残念なことです。 (関西が全国に誇れる文化は、吉本と宝塚と、フォークソングだ!) 

 しかし、70年代に登場したフォークシンガーたちは、そのライフスタイルや社会参加などで、今なお音楽にとどまらない幅広い視野と反骨精神を見せています。この点は他の音楽ジャンルのアーティストには見られない特徴ではないでしょうか。「フォーク」の意味を考えると、それも当然のことだと思います。 
 

 
 
 
 
●余談 
 フォークソングのシングアウト(声を揃えて唄う)を茶化したような表現がよく見受けられます。アニメでは「赤ずきんチャチャ」とか、最近の「コレクターユイ」でも……「流行遅れ」扱いされているわけですが、それも分からないわけではないし、目くじら立てるつもりもないですが、ちょっと引っかかるモノがあります。フォークソングというものは本来流行を超えたもの(であろうとしたもの)だからです。流行というものの多くは商業主義の産物であるし、流行遅れを笑うことは、自分を笑うことでもあるし、それに異議を唱えるフォークソングを笑うことはどういうことなのか、声を揃えて唄うというのがどういう意味を持っているのか、考えて欲しいな。「流行遅れ」で片づけていいのでしょうか。 
 ある大学の先生が「最近の学生は、声を揃えて唄う、ということをしなくなった。カラオケでは歌うのだが。我々が若い頃は、何かにつけて声を揃えて唄ったものだが」とおっしゃっていたのが忘れられません。これももう10年以上前です。どう思われますか。 
 
 
 
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