■concert report 2025■ 博物詩 vol.1



昼下がりコンサート 2025
■25.4.19 円山公園野外音楽堂■

 このコンサートは、ナターシャ―・セブンを愛しリスペクトするアマチュアと、ゆかりのミュージシャンで作る、トリビュートコンサートです。5回目になった昼下がりコンサート、今年からは本来の予定だった春開催となりました。しかし、4月というのに真夏日一歩手前の気温になるとは…… 夏のように大汗かいてビショビショになる、ということはなかったですけどね。
 有名どころが登場するようになってか、高石ともやさんを偲んでか、来場者もぐんと増えて入場待機列ができ、警備員さんまで動員されていました。ポツリポツリだった初期とは様変わりし、広い客席のほぼ全体に散らばる程の入場者数でした。主催者にとっては集客力が高まって一安心というところでしょう。

昼下がり25ポスター
● 旅の途中の外つ国びとも聞きに来てくれたのかにゃ? ●

 今日も開催前にいつもの兼松豊さんのMCがお出迎え♪ たづるさんのあいさつもはさんで、「再会」と、兼松さんのオリジナル曲、それに「ハエハエハエ」を唄ってくれました。
 てっつんからの大切な注意事項の告知は、禁煙、写真はOK、動画・録音は禁止、アマチュアのみ動画撮影可、とのことでした。
 時間になり、いつも通り盛大に「私を待つ人がいる」を全員で演奏して開演です! 今回は応募が募集枠の2倍で、10組の予定を12組に増やしたとか。
 選ばれたのは<JALAN JALAN><中道秀久さん><N2ユニット><A&Y><第二技術室><街かど107><ほうぼうず><チームG&G><フォークグラス><日野聡さん><ザ・ナターシャー・ヘブン><会津里花さん>の12組。この内、<チームG&G>さんは「あなたを恋しています」を唄われました。取り上げられることの少ない歌ですが、実は私の大のお気に入り♪ うれしかったぁー (*^_^*)

 続いて<七人の会バンド><坂庭寛悟バンド><我夢土下座>。寛悟さんたちが唄った「ノコサレタモノタチ」は、フォークスの「小さな港のおじいさん」と同じ原曲の谷山真生さん訳バージョンですね☆
 そして、特別サプライズゲストの杉田二郎さんが登場!! 歌い始めたころの話などを交えて、定番曲「風」「戦争を知らない子供たち」と、アンコールとして新曲「1日、1時間、1秒でも」の3曲を歌ってくれました。
 もはやレギュラー? 城田じゅんじさんが昨年紹介された小林一成さんと一緒にバンジョーのインスト曲メドレーを。そして、1979年の今日レコーディングされたという「パン売りのロバさん」……小林さんはナターシャの生き字引で、何でも記憶しているおたくらしいです。木田さんのEベースをリペアし、省悟さんの「ギブソンの遠慮モデル」バンジョーを弾き、東理夫さん・西田晃治さんも加わって「川下りブラックジャック」再演。今になってこんな曲を生で聞けるとは!
 東理夫さんは、N7再会以来の登場でしょうか? 「高い山に登って」、城田さんが4−50年弾いてなかったという「ブルーベル」、そして「楽しい時は」「さよならが言えない」などの原曲を英語で披露してくれました。もう40年経ちました
 ここで、「バンジョー弾きが3人いるのでやってみる」(3人目は進藤了彦さんです)と、「フォギー・マウンテン・ブレイク・ダウン」が響き渡りました☆。いや、初めは3人羽織でもやるのかと思ったんですが…… (^_^;)
 ラストは、「永遠の絆」をカーターファミリーがアレンジする前のオリジナル版&ブルーグラス調のポピュラーなバージョンで。アンコールが起きましたが、そろそろお開きの時間ということで……
 実行委員長のあいさつの後、恒例、出演者全員が再登場して「ヘイヘイヘイ」で今年も幕を閉じました。

■またまた蛇足ですが
 京都には今、「京都○作戦」だの、「京都●●アコースティックフェス」だのといった「フェス」があり、また「MAJ」(MUSIC AWARDS JAPAN 2025)という新しい国際音楽賞イベントも京都で開催されましたが、いずれもヒットを飛ばし、経済的効果を期待するなど商業主義的で娯楽指向・人気指向で、宵々山などのフォークとは断絶しており、交流も何もありません。
 今、誰もが好き勝手な歌や音楽を作って公表できるようになったのも、きっかけはフォークソングですが、そんなことはもう誰も気にも留めていません。ましてや無名人の民衆音楽というフォークソングの精神は忘れられています。
 後継者が生まれなかったことは残念でなりませんが…… 忘れられるのもまたフォークソングなのかも知れません。

(掲載: 25/7/18)

SAM ライブ
■25.7.20 5th Street■

 1曲目は赤木一孝さんのボーカルで「お父さんのパンツ♪」こと、「物干し台」。お父さんシリーズ(?)の一曲ですが、松崎さんには“頭に持ってくる曲ではない”などと言われていました。ちょっと意味ありな歌詞なんですがね〜 (^^;) 続いても赤木さんの「この光の中で」。代わって松崎博彦さんの「矢車草」「祭ばやし」「追懐」。You Tube には「祭ばやし 2025」が掲載されています。冒頭の歌詞”夏というにはまだ早い”も、なんだかおかしくなってきた今年の猛暑でしたが……。そして、「星降る丘の上で」で、早くも第一部終了となりました。

 第2部は松崎さんの「浜木綿咲いて」でスタート☆ 赤木さんが加わって「Don't Think Twice, It's All Right」と、今度は赤木さんのソロで「ハマヒルガオの花」、ギター・インストゥルメンタルの「Canyon Moonrise」(←このタイトルでいいと思うのですが……?)をはさんで、どちらも久しぶり、という「ママはフォークシンガーだった」「戦争を知らない子供たち'83」を、松崎さんが唄います。さらに本邦初公開というWギターの「ぬかるみの道」と、ラストは赤木さんの「たびだち」。
 アンコールは「からっぽの部屋」で、締めとなりました。

 今日もフォークス時代の思い出の歌を聞けてとても良かったです (*^_^*)。CDで残してほしいな〜 フォークス(博物詩)は今年で40周年になりますね♪
この日はこの後、茶木みやこさんのライブもあり、続いて参加された方もいたようです。

(掲載: 25/9/20)

ピースライブ 2025
■25.9.13 京都教育文化センター■

 ピースライブは今年で20周年! 宵々山にも負けないくらい、歴史を重ねてきました。「京都平和コンサート」として始まり、第2回からは<ピースナイン・コンサート>として笠木透さんと高石ともやさんの共演が実現。笠木さん亡きあとは<ピースライブ>と衣替えして受け継がれてきました。今年出演の川口真由美さん、ジュスカ・グランペール、松元ヒロさん、そして雑花塾というレギュラー陣に立派に支えられているのがとても心強いです。

   京都平和コンサート2005  ピースライブ2006

 今年のトップは川口真由美さん。月ノいづみさんのピアノ「戦場のメリークリスマス」で幕開け、「こなごなの未来」「天井のない監獄と……」「苦い珈琲と甘いデーツ」、そしてジュスカ・グランペールと一緒に「朝露」。
 今日は前の席で見れたので、川口さんのギターのストラップに平和マークや鳩のシルエットがあるのがわかりました。イイナー。
 2番手はジュスカ・グランペールです。「Gypsy Dance」「めざめ」「ヒーロー」「いちゃりばちょーでー」「イコロ」、そしてダンスメドレー。歌はないけど、演奏で平和への思いを伝えている、との言葉がうれしかったです。締めくくりは「Smile Smile」。

 第2部は今年も松元ヒロさんから。「日本人ファーストならなぜ日本語じゃないのか」とか、最近お騒がせの市長や知事、&万博を一刀両断。そして『資本主義の次に来る社会』という本を紹介されました。「飛行機のファーストクラスをなくせば、2機が1機で済む」というお話は覚えておきます! アンコールとして代表作「憲法くん」。つなぎのMCでは、安保くん初演時の思い出をはなされ、「ここで鍛えられた」とおっしゃっていました。
 トリは雑花塾の登場です。コロナ後は<ぽこ・あ・ぽこ>の出演でしたが、増田康記さんに代わって鈴木幹夫さんが新代表とのことで、雑花塾名義としては2019年以来のステージとなります。ボーカルはリレー方式の担当で、「私に人生と言えるものがあるなら」(佐藤せいごうさん)、「焚き火」(山本忠生さん)、「ひとつぶの涙」(上田達夫さん)、「メープルシロップ」(尾崎ツトムさん)、「椿電球」(鈴木幹夫さん)の5曲を聞かせて下さいました。バックを務めたのは洞沢佳久さん(ベース)と平田賢司さん(パーカッション)、コーラスに<ぺんぺん草>、山田敏彦さん、亀山久雄さん。

 最後はコラボコーナー。川口真由美さんのボーカルで「真実は沈まない」と、「平和の暦」「私の子供たちへ」の2曲でお開きとなりました。

(掲載: 25/10/3)

Music Picnic
■25.9.14 京都 円山公園野外音楽堂■

 円山野音でのアコースティック・コンサート! と聞いて、気にならないはずはないっ(しかも入場無料)。2007〜09年に開催された<ほっこりライブ・スペシャル>も思い出されますし、タイトルからは<椛の湖ピクニックコンサート>も連想されます。
 <ほっこりライブ・スペシャル>は、長野隆さんの呼びかけで、坂庭寛悟さん、松崎博彦さん、木崎豊さん、バラーズといったベテランから若手の新人までが競演し、フォークの世代間交流や継承を感じさせる企画でしたが、今回は果たしてどんなコンサートになるのでしょう。期待と不安でいっぱいです。フォークソングの精神は少しでも受け継がれているのかなー。

 今回は、様子見、視察という事で、序盤の2時間ほどを見させていただき、申し訳ないですが、中座させていただきました。
 曇り空で一時小雨も降りましたが、比較的過ごしやすい気候でした。会場にはキッチンカーやフリマ、CD販売もあって、ピクニック、野外ライブらしい楽しさが用意されていましたよ♪
 観客は意外と年令層が高く、むしろ若い人が少なかった印象でした。

 最初のMCでは「来年100周年を迎える円山野音はアコースティック・ギターの聖地」とは言っていましたが、「70年代はフォークのコンサートなども多分たくさんやってたみたい」などという、何とも情けないあいまいな認識でがっかり。少しは調べて来てほしかったなぁ。一部のSNSの投稿では宵々山の名前は知っていても、「今でも続いているのかどうか、わからない」というような有様で……世間や下の世代はそういう認識なんですね〜 トホホ。
 歌を聞いてみたところ、「キミ」がどうした、というようなラブソングみたいなのが大半で。メッセージソングや野の花を唄ったような歌、もっと泥臭い生活に密着したような歌はなかったですね。フォークではない、とは言いませんが。
 恐れていたオールスタンディングとか、「イエーイ」「ノってるかー」なんて言うこともなかったのは、良かったかも。
 しかし、私の退席後、手話を取り入れたり、沖縄民謡を唄うチームもあったらしく、多様性があって少しはフォーク的な要素もなかったわけではないようです。それは素直に評価したいです。(手話を使ったのは、五美ひろえさんの「捨てないで」という歌だったらしく、これは一種の環境派のメッセージソング?! う〜ん、見たかった)
music picnic カバー曲も多かったようで、中には、フォークではないものの、「京都慕情」も唄われたようです。まさか「街」や「珈琲不唱歌(コーヒーブルース)」は唄われなかったでしょうね? できれば、元祖フォークとの交流・継承を望みたかったところです。
 フォーク、とひと口に言ってもいろいろ。無名のアマチュアが、正直に、精いっぱいに歌えば、それもまたフォークなのかも。

 

出演者: アシタカ(オープニング・アクト)、甚四郎、ひろたうた、CAPRICE、大江和基、EARThsTONE、五美ひろえ、Yammy*、SANISAI、ハナツムギ、MILKBAR、瀬戸山智之助、和紗(敬称略)

(掲載: 25/11/12)